特集 恐れず恐れよ!骨転移診療 超実践ガイド
Part4 がんの進行と地域医療介護・在宅ケア—局所から全身へ
骨転移を伴う進行がんの意思決定支援—患者・家族が抱える不安への寄り添い
田平 芳子
1
1大阪国際がんセンター看護部
pp.490-492
発行日 2018年10月15日
Published Date 2018/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1430200342
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患者に出会う前から始まるケア
ナースセンターに「入院です。骨転移です」の連絡が入ると、私は心構えを始める。骨転移に対する看護や意思決定支援は、早期からの介入が重要な鍵となるからだ。そして、「どこの部位にどんな感じで転移があって、どんな障害なのか。年齢は、お仕事は、ご家族は、ご本人、ご家族の思いは、歯の治療歴は……」とさまざまな要素に思いを巡らせながら、情報収集と検査の準備を進める。
「ずっと定期検診に行っていたから、大丈夫と思っていたんです。骨にくるなんて思ってもいなかった」「最近、腰が痛くて、湿布を貼ったり、鍼に行ったりしてたんです」「転んでしまってレントゲンを撮ったら、なにかおかしいって言われてきたんです」など、骨転移患者の訴えはさまざまだ。がんの再発という認識がなく、骨を治せばよいと捉えられていることもしばしばある。どのような治療を行なうのかによって、ケアも説明後の介入も変わってくるため、患者・家族の情報・思いを素早く、ひとつずつ丁寧に確認しなければならない。骨転移のケアは、患者に出会う前から始まっていると言える。
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