特集 恐れず恐れよ!骨転移診療 超実践ガイド
Part2 骨転移は誰が、どう診ればよいのか
各職種の役割と現場を変える積極的なかかわり方
整形外科の立場から
佐藤 雄
1
1聖路加国際病院整形外科
pp.412
発行日 2018年10月15日
Published Date 2018/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1430200322
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チーム介入前の課題
腫瘍内科やがん原発科から骨転移の相談がくるときは、いつだって既に骨折しているか、麻痺を起こした後だった。痛みを訴え、麻痺にショックを受ける患者やその家族が、突然自分たちの前に現れるのである。がんの専門家でない私に「骨折や麻痺が起きているがどうしたらいい?」と相談される。でも本音は自分が質問したい気持ちであった。自分が一番知りたいことは「この患者は今どのような状態で、今後どのような経過が見込まれるのか? そもそも、どんな『人』なのか?」ということである。
つらい状況に追い込まれている初対面の患者から、これらの情報を得ることは難しい。治療方針を考える時間も乏しく、具体的な治療方針に頭がまわらなかった。私のなかには常に、「手術の方針決定は整形外科だけでしなくてはならないのか?」「手術を選択したとき、この出会って間もない患者や家族は、手術後の結果や予後が臨んだものにならない場合に、受け入れてくれるのであろうか?」という不安が存在していた。
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