連載 スタッフの倫理的感受性を高める ナースマネジャーがともに考える臨床倫理――臨床看護師が直面する倫理的ジレンマを紐解く・10
事前指示Advance Directives
竹之内 沙弥香
1
,
田村 恵子
2
,
浅井 篤
3
1京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻臨床看護学講座
2淀川キリスト教病院ホスピス
3熊本大学大学院生命科学研究部生命倫理学分野
pp.1012-1017
発行日 2010年10月10日
Published Date 2010/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686101871
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事前指示とは
患者が意思決定能力を失った場合,代理判断が必要となる。その判断の根拠となるものとして,事前指示,代理判断,最善の利益の検討の3つが重要な概念として挙げられる。意思決定能力のない患者のための代理判断や,最善の利益の検討については過去の連載(第5回,第9回)にてすでに説明したとおりである。今回は事前指示に注目して考えてみたい。
事前指示とは,患者あるいは健常人が,将来判断能力を失った際に,自らに行なわれる医療行為に対する意向を前もって示すことである1)。意向を示す方法として,以下の2つの形態がある。
1)医療行為に関して医療者側に指示を文書あるいは口頭で伝える
2)自らが判断できなくなった際の代理決定者を委任する
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