理学療法の現場から
“理学療法の光と影”
東山 敬
1
1長崎市立病院成人病センターリハビリテーション部
pp.49
発行日 2002年1月15日
Published Date 2002/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551105967
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自立のパラダイムと真のニーズ
これまでリハビリテーションといえば,セルフケアを中心にした医療モデルの自立を目指してきた.しかし,重度の障害者はこれに該当しなくなる.介助や介護を受けながら自己選択と自己決定による自己実現に向けての主体的な生き方,これが障害者の文化から発信された生活モデルの新しい自立だ.また,自立は障害を在りのままに受け容れ,障害と共に生き,各人に与えられた人生を自ら変革していくことでもある.リハビリテーションを必要以上に長期化すると自立が妨げられるので,手段としてのこれまでの理学療法士の役割から脱皮し,自立という目標に統合していく能力が我々1人ひとりに問われている.白衣を脱ぎ生活者として支え合うボランティア活動のなかで,様々な真実と出会った.障害をもつ人たちが求めていることを私は感じた.それが苦痛のコントロール,十分なコミュニケーション,適切なもてなし,生きがいの発見,生きる希望ということを.また,生活の量的な豊かさより人生の質の深さを,人から与えられるより人に与える立場を望んでいることをも.
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