論述
脊髄損傷患者におけるリハビリテーションの心理社会的側面
高口 真一郎
1,3
,
松本 朝栄
2
,
長島 弘明
2
,
坂根 正純
2
Shin-ichirô TAKAGUCHI
1,3
1香川労災病院理学診療科
2香川労災病院整形外科
3現:県立愛媛整肢療護
pp.894-899
発行日 1967年9月25日
Published Date 1967/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904287
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はじめに
全体的な患者の管理の概念としてのリハビリテーション(以下リハ.と略す)は,心身になんらかの障害をもつものに対して,発病や受傷の当初から,その障害を可能な限り除くとともに,彼の身体的・心理的・村会的および職業的能力を最大限度に引き出そうとする過程であつて;単に理学療法,作業療法あるいは特殊な医学の専門分野と同一視すべきでない.すなわちリハ.においては,身体的回復のいろいろな面は全リハ.過程中の1つの面にすぎないと考える.
さて,医療における医師の心理的働きかけは,①直接心身相関という経路を通つて(これが狭義の心身症つまり狭義のPSD(Psychosomaticdisease)に相当する),そして②間接に身体的治療に対する積極的な協力や動機づけという経路によつて,身体的症状や病変の改善に結びつく場合が考えられるとともに,さらに③社会的適応というような心理学的に評価されるべき面にも影響を及ぼすことが考えられる.リハ.においては,上記②,③はリハ.の心理社会的問題として重要である1),註1).というのは,リハ.では身体的症状や病変の改善という基準のほかに,心理社会的な評価の基準をも必要としており,そしてこれら両者によつて具体的な社会復帰が可能となるからである。
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