Feature Topic がん診療のフロントライン—2020年から考える
思いがあるからできることがある。—2020年から「乳がん」を考える
山内 英子
1
1聖路加国際病院乳腺外科ブレストセンター
pp.58-61
発行日 2015年10月15日
Published Date 2015/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1430200007
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山内 2020年のがん医療、特に乳がんの領域では遺伝診療がきっと進んでいます。2015年の現在でも、乳がんのBRCA1/2遺伝子検査でリスクがある程度までわかる時代になっています。がんの何%かはすでにある程度、遺伝性であることが分かってきていますから、このまま進めば、病気になる前に対処する、という形になっていくと思います。今までの日本の医学は、Re-active、なにか起こったことに対しての「火消し」でした。しかし、世界の医療は、Pro-activeに向かっています。何かが起こる前にアクションを起こすという傾向です。
アメリカでは、保険に入るとprimary care physicianが割り当てられて、普段はその医師に診てもらうことが義務になっています。その医師は、家族歴も把握していて、「あなたのお父さんは大腸がんで何歳で亡くなったから、あなたも50歳になったから、大腸がんの検査をやりましょう」という診療をしています。がんが発見された場合も、primary care physicianが外科医を推薦し、そこで手術を受け、手術が終わったら戻ってきて、次に腫瘍内科医を探してもらい、その先の治療方針を決める、という流れです。門番的な役割のprimary care physicianを通すので、日本のようにあっちこっち行って処方箋をもらうような手間はかからないのです。
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