Feature Topic がん診療のフロントライン—2020年から考える
ブラック・ジャックになりたかったけれど。—2020年から「腫瘍内科医」を考える
勝俣 範之
1
1日本医科大学武蔵小杉病院腫瘍内科
pp.54-57
発行日 2015年10月15日
Published Date 2015/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1430200006
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勝俣 2020年、日本にはがん患者さんがあふれます。がん患者さんのなかには高齢者も多いので、2020年のすぐ先にある2025年のことを考えると……、なにより、在宅緩和ケア制度が問題になります。医師の育成ももちろん大事ですが、それ以前にがんと地域を取り巻く環境として、2020年にはがん患者さんの居場所が整っていなくてはなりません。
腫瘍内科医は、いまの段階ではまだ「抗がん剤治療をする人」ですよね。そうではなくて、オンコロジストのあるべき姿は「がんの総合内科医」なのです。がんの総合内科医とは何か。それはコーディネーターです。在宅緩和ケアにうまくつなげられるようなコーディネートをしていく。専門医資格をもつ腫瘍内科医は抗がん剤だけでなく、本来的な意味でジェネラルなものができないと生き残っていけません。薬物療法は、これから免疫療法(分子標的薬)が主流になってくる可能性が高いです。これは副作用が軽いので、ともすれば従来のように外科医でもできてしまう。そのとき「腫瘍内科医はもう要らない」なんて話も出てくる可能性もあるわけです。
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