Feature Topic がん診療のフロントライン—2020年から考える
ここから世界が変わろうとしている。—2020年から「がん免疫療法」を考える
北野 滋久
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1国立がん研究センター中央病院先端医療科先端医療開発センター新薬臨床開発分野・免疫療法開発分野
pp.62-65
発行日 2015年10月15日
Published Date 2015/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1430200008
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北野 5年後は……そんなに先じゃないですし、あっという間ですよね。ただ、間違いなく免疫療法は大きく進歩すると思います。世界が変わるときって、放物線的に動くと思うのですが、そのカーブのなかに入ったような実感があります。
私は腫瘍内科医ですので、長年薬物療法をメインに担当してきました。殺細胞性の抗がん剤から90年代に分子標的薬の時代になって、今年(2015年)は国内でも免疫療法の扉が大きく開いたと実感します。いま、国立がん研究センター中央病院の先端医療科という、いちばん新しい薬に触れる機会のある部署にいて感じることは、従来型の抗がん剤がほとんど開発されなくなっているということです。また、がんはよく知られているように、もともとは正常な細胞の遺伝子変異が積み重なって出てくる病気ですが、具体的にどの変異があると、どの薬が効くかということ─各分子標的薬について患者さんごとに適応性の見極めとそれを踏まえた使用─を突き詰めることがある程度できるようになってきました。時代が変わりつつあります。
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