発行日 2012年5月20日
Published Date 2012/5/20
DOI https://doi.org/10.15106/J03022.2012280672
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本研究の目的は、乳がん患者の母親としての思いと子どもとのかかわりについて明らかにすることである。診断時に18歳以下の子どもをもっていた乳がん体験者110名を対象に、自記式質問紙調査を行った。回収は75部で、そのうち記入漏れのあった7部を除いた68部を分析対象とした。分析は、基本統計量、Spearmanの相関係数、Mann-WhitneyのU検定およびKruskal-Wallis検定を用いた。その結果、多くの乳がん患者は、子どものために頑張ろうと思い、子どもが明るく生活を楽しんでいる姿に励まされていた。子どもによるマイナス面への影響は少なく、闘病意欲を高め、乳がんを乗り越えるための原動力として子どもの存在が大きく影響していたことが示された。母親としての思いや子どもとのかかわりは、母親の年齢、乳幼児の有無、職業の有無、子どもの人数、化学療法の有無が影響していた。乳幼児のいる母親には、子どもとの時間や距離の確保、無職の母親には自己効力感が得られるようなかかわりの必要性が示唆された。また、化学療法を受ける母親には、副作用の軽減と同時に、子どもが母親の状況を理解できるような働きかけの必要性が示唆された。
©Nankodo Co., Ltd., 2012