発行日 2013年9月20日
Published Date 2013/9/20
DOI https://doi.org/10.15106/J03022.2013377707
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
本研究の目的は、乳がん体験者が生活をともにする夫とかかわるうえで感じている夫への思いを明らかにすることである。乳腺外科に通院している、または乳がん患者会に所属している乳がん体験者のうち、現在、夫とともに生活をしている5名を対象として、半構成的面接調査を実施し、質的帰納的に分析した。その結果、乳がん体験者が生活をともにする夫とかかわるうえで感じている夫への思いとして、【夫婦の親密性が深まる】、【夫のサポートを感じる】、【私のすべてを受け止め支えてくれる夫に感謝する】、【私のすべてを理解することができない夫に対し、失望や不満を抱く】、【今後の人生を想定し、母親・妻としての役割を夫に託す】、【今までと変わらない生活の継続を願う】、【夫の気持ちを常に考え、夫に心配をかけまいと強くあろうとする】、【傷跡のある乳房により女性として妻として負い目を感じる】の8つのカテゴリーが明らかになった。夫婦の互いの気遣いによる支え合いが相互に作用し、夫婦の親密性を深めていることが示された。また、乳がん体験者は夫婦の親密性が深まる実感とともに、女性としての負い目を併せもち、それぞれの思いを夫婦で共有することの重要性が示唆された。
©Nankodo Co., Ltd., 2013