特集 ジェネラリストのための「発達障害(神経発達症)」入門
【各論Ⅰ】発達障害を理解する—Caseに学ぶ典型例と対処法
❺発達障害と「心身症」
石崎 優子
1,2
1関西医科大学総合医療センター 小児科
2関西医科大学 小児科学講座
キーワード:
心身症
,
注意欠如多動症
,
ADHD
,
自閉スペクトラム症
,
ASD
,
適応障害
,
適応反応症
Keyword:
心身症
,
注意欠如多動症
,
ADHD
,
自閉スペクトラム症
,
ASD
,
適応障害
,
適応反応症
pp.1060-1063
発行日 2023年9月15日
Published Date 2023/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429204445
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
Case
大学生になり「適応障害」となった自閉スペクトラム症の一例
患者:18歳、男性。大学1年生。
家族歴:兄が自閉スペクトラム症(autism spectrum disorder:ASD)
現病歴:小・中学校時代は、新学期には学校に行き渋ることがあったが、慣れてくると登校していた。高校時代は、友人が多いほうではないが、同じ趣味をもつ少数の友人がいた。実家から離れた大学に進学し、しばらく経ったある日、母親に「眠れない」「数日前から食事がとれない」とメールが送られてきた。母親が驚いて下宿に行き、本人を連れて内科診療所を受診した。
診察室では、礼節は保たれており、医師との会話も成立するが、「どんな症状があるのか?」「何に困っているのか?」という問いかけに、まわりくどい回答をする。独特の文語的な言葉を使うが、何を言いたいのかわかりづらい。プライマリ・ケア医は、食欲不振は心身症であると考え、メンタルクリニックを紹介したところ、ASDおよび適応障害と診断された。
Copyright © 2023, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.