特集 ジェネラリストのための「発達障害(神経発達症)」入門
【各論Ⅰ】発達障害を理解する—Caseに学ぶ典型例と対処法
❹大人の発達障害
村上 伸治
1
1川崎医科大学 精神科学教室
キーワード:
大人の発達障害
,
自閉スペクトラム症
,
ASD
,
グレーゾーン
,
環境調整
,
ストレス
Keyword:
大人の発達障害
,
自閉スペクトラム症
,
ASD
,
グレーゾーン
,
環境調整
,
ストレス
pp.1056-1059
発行日 2023年9月15日
Published Date 2023/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429204443
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Case
患者:24歳、男性
現病歴:不眠や出勤前の腹痛などの体調不良を主訴に、総合診療科を受診した。大学の工学部を卒業後、機械メーカーに就職し、2年間は問題なく就業できていた。就職2年後に、厳しく叱咤する課長がいる部署に異動となってから、主訴の症状が始まった。
母親から話を聞くと、学童期から図鑑が好きで、友達とのコミュニケーションは苦手だったが、成績は良かったので、特に指摘などは受けなかったという。職場では、本人は原則や計算上の数値にこだわるが、課長には「融通をきかせろ」と叱咤されるパターンが多いという。
部分的な自閉スペクトラム特性があると考え、大人の発達障害の一般書(p.1059)を数冊読んでもらったところ、本人も親もよく当てはまるとのことだった。本人の特性を部長と人事に説明し、異動のうえで、ある程度配慮をしてもらえることになった。書籍で紹介されていた対処法なども本人と家族で行うようになってから症状は軽快し、精神科への紹介を要さず通院終了となった。
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