特集 “賢い処方”と“ナゾ処方”
【ケース別“賢い処方”と“ナゾ処方”】
—また運ばれてきた!—「薬剤の副作用」による救急搬送症例
浅川 麻里
1
1堺市立総合医療センター 総合内科
キーワード:
高齢者救急
,
ポリファーマシー
,
薬剤有害事象
,
ビタミンD中毒
,
ワルファリン
,
NSAIDs
,
ベンゾジアゼピン中毒
Keyword:
高齢者救急
,
ポリファーマシー
,
薬剤有害事象
,
ビタミンD中毒
,
ワルファリン
,
NSAIDs
,
ベンゾジアゼピン中毒
pp.486-489
発行日 2016年6月15日
Published Date 2016/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429200562
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あるあるナゾ処方Case
意識障害と嘔吐で救急搬送された高齢者
患者:86歳,女性.ADLは杖歩行.
既往歴:高血圧で内科,膝関節痛で整形外科に通院中.
主訴:意識障害,嘔吐.
現病歴:1週間前から,食欲が低下していた.来院当日,朝からボーッとして会話が成立せず,数回嘔吐したため家族が救急要請.
来院時の意識レベル E3V4M5,他のバイタルサインや身体所見は異常なし.血糖値110mg/dl,血液検査結果でCr 2.6mg/dl,Ca(Alb補正後)13.8mg/dlが判明.
処方薬を確認すると,内科からトリクロルメチアジド(フルイトランⓇ),整形外科からロキソプロフェン(ロキソニンⓇ)とエルデカルシトール(エディロールⓇ)が処方されていた.
ビタミンD製剤内服中にNSAIDsとサイアザイド系利尿薬によりeGFR(推算糸球体濾過量)が低下したため血清カルシウムが上昇,腎障害の悪化によりカルシウム排泄が低下し,ついにビタミンD中毒による高カルシウム血症を発症したと考えられた.
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