【臨床小説】後悔しない医者|あの日できなかった決断・第18話
思ったことを言える医者
國松 淳和
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1医療法人社団永生会 南多摩病院 総合内科・膠原病内科
pp.1189-1194
発行日 2021年9月15日
Published Date 2021/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429203390
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前回までのあらすじ 今月のナゾ
前回から、黒野のチームに2人の初期研修医が加わった。1年目の五明千春と、2年目の宮川史佳だ。宮川の教育係を担当することになった後期研修医・栗塚は、唖然とさせられた。新たな入院患者を受け持つことを断って、「17時なので」と宮川が平然とその場を立ち去ったからだ。どちらかと言うと穏やかな性格の栗塚だったが、さすがにイラッとさせられて…。
今回の患者は80歳・女性。卵巣がんの末期で、DNARを希望している。患者にとって死は、一生に一度のことである。しかし医療者にとってそれは、日常的な出来事とさえ言っていい。両者にとっての「DNAR」の意味は、ある意味で一致しなくて当然だ。そこに若い五明が一石を投じる。終末期患者に、この医療行為は本当に要らないのか?
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