特集 新時代の「在宅医療」—先進的プラクティスと最新テクノロジー
【各論Ⅰ】東日本大震災から10年—「福島」における地域医療の今
「福島市」の在宅医療の現状と課題—仮設住宅での看取りに学んだ「住まい」の意味
橋本 孝太郎
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1医療法人社団爽秋会 ふくしま在宅緩和ケアクリニック
キーワード:
東日本大震災
,
在宅医療
,
仮設住宅
,
レジリエンス
,
新型コロナウイルス感染症
,
universal health coverage
,
ICT
,
価値観
Keyword:
東日本大震災
,
在宅医療
,
仮設住宅
,
レジリエンス
,
新型コロナウイルス感染症
,
universal health coverage
,
ICT
,
価値観
pp.837-840
発行日 2021年7月15日
Published Date 2021/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429203263
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Case(仮想症例)
患者:80代、男性。直腸がん末期、転移性肝腫瘍。福島第一原発がある福島県双葉郡(p.832)からの避難者で、福島市内の「仮設住宅」に在住。同居家族は妻のみだが、同一敷地内の仮設住宅群の別棟に娘夫婦・孫がいた。もともと住んでいた地域の住民もこの仮設住宅群に多くいたが、県外に避難した者も多かった。もとのかかりつけ医も被災しており、主治医変更も余儀なくされた。
現病歴:東日本大震災後に化学療法が長期間中止され、その間に全身状態も悪化したため、「在宅緩和ケア」を目的に当院紹介となった。介入当初はPS(performance status)3程度で、なんとか室内歩行は可能であった。
訪問看護・訪問介護・訪問薬剤管理サービスを利用し、娘家族・地域住民も積極的に介入してくれたおかげで、仮設住宅においても通常と同等の医療・ケアを提供でき、その場で最期を迎えることができた。しかし、本人・家族らのパーソナルスペースを確保しプライバシーを保つこと、双葉郡の自宅への想い、コミュニティを失った寂しさを埋めることは難しく、仮設住宅での療養環境は決して良いものではなかった。
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