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はじめに
在宅医療が厚労省の医療政策として推進され,在宅医療にかかわる多施設,多職種の連携の重要性がますます謳われるようになっている.このため,各地方自治体で地域包括支援センターなどを中心としたさまざまな医療ネットワークの取り組みが進んでいる.在宅医療を必要とする患者の多くは,運動機能の低下や同伴できる家族がいないために通院が困難となった高度認知症,神経難病,末期がんなどの患者が多いと思われる.本邦が超高齢化社会を迎えているなかでの在宅医療は,医療・社会資源に頼らざるを得ないが,主治医と療養支援者との連携や患者家族とのコミュニケーションが十分に取れないために不安を抱えている.また,主治医も患者の日常の状態を十分に把握できる状況にはない.特に,神経難病患者では,運動機能障害や呼吸障害により外出が容易でないために,適切な情報を得る機会が乏しく,また急変時や災害時における対応,医療機関との連絡方法に不安を抱えながらの生活であるが,希少性疾患であるがゆえに,その疾患名から他の診療科や一般診療所から敬遠される傾向にある.
この問題に対する解決策として,在宅療養者,専門医療機関,療養支援者間で随時かつシームレスに情報共有を行えるシステムの構築が重要である.信州大学医学部附属病院(以下,信州大学病院)では在宅療養支援として訪問診療を行ってきた.しかしながら要望の多かった緊急時や24時間対応が行える体制にはなっておらず,情報共有も紙媒体で行われていた.そこで,信州大学病院総合遠隔診療室では,在宅療養中の患者・家族,在宅療養支援者,医療機関の間で情報共有を可能にしたモバイルタブレット端末を用いた在宅電子チームケアシステムを開発してきた.本稿では,在宅医療に役立つと考えているICT(information and communication technology)を利用した電子チームケアシステム,遠隔コミュニケーション,遠隔リハビリテーション,そして人工呼吸器の遠隔アラートシステムについて紹介したい.
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