特集 その倦怠感、単なる「疲れ」じゃないですよ!—筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群とミミック
【Ⅰ章】
ME/CFSを極める!—“病像”をつかむ
ME/CFSの疫学と歴史
倉恒 弘彦
1
1大阪市立大学大学院医学研究科 代謝内分泌病態内科学
キーワード:
神経炎症
,
脳内ミクログリア
,
神経系
,
免疫系
,
内分泌系
,
SEID
,
全身性労作不耐疾患
Keyword:
神経炎症
,
脳内ミクログリア
,
神経系
,
免疫系
,
内分泌系
,
SEID
,
全身性労作不耐疾患
pp.800-804
発行日 2020年7月15日
Published Date 2020/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429202684
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Case
ME/CFSの典型的病像
患者:35歳、女性。会社員。
主訴:倦怠感、脱力、微熱、全身の痛み、思考力低下
既往歴:特になし
現病歴:咽頭痛・咳・発熱がみられるようになり受診、インフルエンザA感染症と軽度の肺炎との診断を受け、即日入院となった。約1週間の治療にて発熱や咳などの肺炎症状は軽快し退院となったが、その後も微熱が続き、次第に倦怠感・脱力・思考力の低下・筋肉痛・関節痛なども強くなり、日中も横になって生活せざるをえない状況になってきた。
再度、内科を受診して精査を受けたが、頸部リンパ節が少し腫脹している以外は特に異常はみられず、身体的な疾患は否定的との説明を受けた。いくつかの医療機関を受診して調べてもらったが異常はみられず、心療内科での診察でも現在の病態を説明できるような精神疾患はみられないとのことであった。その後、数年間にわたって内科にて定期的な検査は受けていたが異常はみられず、寝たきりのような状態に陥っていた。両親がマスコミ報道で「慢性疲労症候群(CFS)1)という病態の可能性を知り、主治医に依頼して専門の医療機関に紹介してもらったところ、ME/CFS2)の臨床診断基準(p.812)を満たしていることが判明した。
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