Japanese
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特集 グリア研究の最先端
B.病態モデル研究
筋萎縮性側索硬化症(ALS)におけるアストロサイト病態
The roles of astrocytes in ALS
遠藤 史人
1
,
山中 宏二
1
Endo Fumito
1
,
Yamanaka Koji
1
1名古屋大学環境医学研究所病態神経科学分野
キーワード:
筋萎縮性側索硬化症
,
SOD1
,
非細胞自律性神経変性
,
神経炎症
,
アストロサイト
Keyword:
筋萎縮性側索硬化症
,
SOD1
,
非細胞自律性神経変性
,
神経炎症
,
アストロサイト
pp.561-565
発行日 2015年12月15日
Published Date 2015/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425200350
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筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis;ALS)は,大脳や脊髄の運動神経が変性し細胞死を起こすことにより,全身の筋肉が麻痺する原因不明の神経変性疾患である。ALSの多くは家族歴のない孤発性ALSであり,5-10%は遺伝性に起こる家族性ALSである。1993年の家族性ALS家系でのSOD1遺伝子の点変異の発見を機に,ALS病態を再現する動物モデルとして変異SOD1トランスジェニックマウスが樹立されALS研究は著しく進展した。更に,家族性ALSの新たな原因遺伝子としてRNA結合タンパク質をコードするTARDBP遺伝子(TDP-43)やFUS遺伝子が同定され,孤発性ALSの運動神経にもTDP-43陽性封入体が蓄積することから,ALSの発症機構としてRNA代謝異常が注目されている。
グリア細胞はこれまで神経細胞の物理的な支持細胞と捉えられてきたが,近年,神経細胞の機能や恒常性維持に積極的に関与することが明らかになっている。これまで筆者らは,ALSの運動神経の変性過程にはグリア細胞の病的変化が積極的に関与することを明らかにしてきたが,グリア細胞による“非細胞自律性”の神経細胞死の病態解明は,現在ALSを含む神経変性疾患研究の重要なテーマとなっている。本稿では,アストロサイトを中心にALSのグリア病態を概説する。
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