特集 その倦怠感、単なる「疲れ」じゃないですよ!—筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群とミミック
【Ⅰ章】
ME/CFSを極める!—“病像”をつかむ
ME/CFSを疑った時の診断ステップと鑑別診断—「倦怠感」を主訴とする患者の臨床診断ストラテジー
伴 信太郎
1,2,3
1愛知医科大学 医学教育センター
2愛知医科大学 シミュレーションセンター
3愛知医科大学 メディカルクリニック総合診療科
キーワード:
診断基準
,
鑑別診断
,
診断アルゴリズム
,
SEID
,
全身性労作不耐疾患
Keyword:
診断基準
,
鑑別診断
,
診断アルゴリズム
,
SEID
,
全身性労作不耐疾患
pp.809-813
発行日 2020年7月15日
Published Date 2020/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429202686
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Case
ME/CFSを疑って鑑別診断を進めている症例
患者:48歳、女性
主訴:全身倦怠感
既往歴:43歳時;閉経、5年前;良性発作性頭位性めまい
職業歴:製造業の営業部に20年前から勤務、特記すべき職場ストレスなし
現病歴:来院約3カ月前にインフルエンザに罹患。しばらく寝込んだが、10日後には職場復帰。その後1日会社を休んだが、翌日には復帰。しかし職場復帰1週間後から、倦怠感のため6日連続で午後休暇をとった。以後、しばしば理由なく倦怠感に襲われるようになり、来院10日前には会社からしばらく休んで体調が回復してから職場復帰するように言われた。
来院2カ月前には近医を受診し、血液・尿検査、胸部X線・腹部エコー検査で異常所見なく、神経内科を紹介された。そこでは起立性頻拍を指摘され、ベンゾジアゼピン系薬を処方されるも改善しなかった。症状から自分で「ME/CFS(筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群)」を疑い、当初受診した近医に紹介状を書いてもらって来院した。
来院前の数日間は、朝起きると息も絶え絶えという感じで起き上がれないほどであった。腕や大腿部に筋肉痛あり、熟眠感はない。
初診時の対応:期間は診断基準を満たさないが、発症状況や明らかな検査異常が認められないこと、性別・年齢などからME/CFSの事前確率は一定程度あると判断し、まずうつ病・うつ状態と稀な身体疾患を除外する予定とした。
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