特集 うつより多い「不安」の診かた—患者も医師も安らぎたい
【診断編】
誰もが感じる「不安」と病的な「不安症」の違いとは?—プライマリ・ケア医の守備範囲
野村 総一郎
1
1日本うつ病センター 六番町メンタルクリニック
キーワード:
不安のメカニズム
,
不安症/不安障害
,
身体疾患
,
物質・医薬品誘発
,
精神療法
,
薬物療法
Keyword:
不安のメカニズム
,
不安症/不安障害
,
身体疾患
,
物質・医薬品誘発
,
精神療法
,
薬物療法
pp.1168-1171
発行日 2017年9月15日
Published Date 2017/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429201096
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Case
患者:46歳、女性。銀行の総合職。
現病歴:1年前に、職場での部署が変わり、ストレスが増す。2カ月前から電車通勤時に「呼吸困難」「動悸」「めまい」「頭痛」「発汗」を発作的に生じるようになり、「閉所恐怖」を感じて電車を途中で降りることがたびたび起こった。会社医務室の内科医に相談した結果、心電図および胸部単純X線検査に異常所見なく、精神科に治療依頼された。
診断:「パニック症/パニック障害」と「広場恐怖症」 G1 に該当する典型的な症状を示していた。予期不安が強く、いらついた様子で、ほてり感や発汗なども続いていた。また、気持ちを落ち着かせるために、仕事中にもコーヒーやドリンク剤を1時間に3〜4杯飲んでいた。これらから、「更年期障害」「甲状腺機能亢進」、また「カフェイン中毒」の疑いももたれた。
そこで、内科での再検査と婦人科にも依頼し、併せてカフェイン減量を指導した。パニック発作に対しては、呼吸法(p.1190)と自律訓練を指導し、予期不安が著しい場合にベンゾジアゼピン系薬(p.1182)の頓服を指示したが、服用はほとんどなかった。
診断的には仕事上のストレスによる不安症が中心的な病態だが、更年期症状やカフェイン摂取などがパニック症状にかなり影響していると思われたケースである。パニック症は、総合的に心身の状況を診る必要がある場合が多い(p.1202・1206)。
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