◆特集 作業療法の守備範囲
作業療法の守備範囲・その法的限界
椎名 喜美子
1
1都立広尾病院
pp.16-19
発行日 1987年2月15日
Published Date 1987/2/15
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はじめに
守備範囲,法的限界という専門的な法解釈をここで展開する気持も力量もない。できることなら,法律適用に関して専門家の御示唆を頂き,質疑したいと願っている。ここでは定義問題,第20回作業療法学会シンポジウム「作業療法・その核を問う」とテーマを同じくする延長線上のものであるという依頼で稿を進めたい。あえて表象的には保守的なイメージのことば—前向き,建設的,創造的などに対し—を表題として選択された編集部には,何らかの意図がおありかと思う。しかし,ここではひとりの作業療法士として,この職業を“より善くしたい”という,己の生き様として,自らの「核」を追求していく(守備でも限界でもなく)姿勢を模索してみたい。
対象が固定しているわけでなく,複雑な要因のからまりあいの中で,変化する人間をどう捉えて,どうするかなどということをそう簡単に論ずることはできない。作業療法についての個人の見解のみである。しかし,この見解が,常識,慣行,思想,専門的学識へと進歩発展していくかどうかは,我々の作業療法を受けたひとりひとりの人達が,歴史の中で明らかにしてくれるだろう。
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