Editorial
ひらめきと思考が織りなす感染症診断
忽那 賢志
1
,
志水 太郎
2
1国立国際医療研究センター 国際感染症センター
2東京城東病院 総合内科
pp.893
発行日 2015年10月15日
Published Date 2015/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429200350
- 有料閲覧
- 文献概要
近年,感染症診断法の進歩はめざましく,PCR検査などの遺伝子検査や,イムノクロマトグラフィーを用いた迅速診断法の普及によって,確定診断できる感染症の種類は増え,また診断に要する時間も短くなってきています.たとえば,私たちが初期研修医の頃にはヒトメタニューモウイルスなどというウイルスは聞いたこともなかったのですが,現在は迅速診断キットで容易に診断することができます.このように,感染症の診断において現代は,一昔前よりも非常に恵まれた診断環境にあります.しかし,ご存知のとおり,感染症の診断は,決して「とりあえず検査をすればいい」というものではありません.
感染症の診断で最も重要であるのは感染臓器・病原微生物を突き詰めることですが,これは本来,問診と身体診察によって可能なかぎり検査前確率を高めることによってなされるべきです.言い換えれば,感染症の技術がどれだけ進歩しようと,問診と身体診察の重要性は決して軽んじられるべきものではないということです.
Copyright © 2015, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.