特集 神経難病ケアのコペルニクス的転回
【総論】
難病ケアにおけるコペルニクス的転回—臨床評価を患者・家族の主観的評価に変える
中島 孝
1
1独立行政法人国立病院機構 新潟病院
キーワード:
難病
,
主観評価
,
緩和医療
,
患者報告アウトカム
Keyword:
難病
,
主観評価
,
緩和医療
,
患者報告アウトカム
pp.206-209
発行日 2015年3月15日
Published Date 2015/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429200137
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「治らなくても医療を行う」という英断
医療とは「病気を治すもの」と考える中で,治らない病気に対しての医療が1972年に世界に先駆け,初めて日本で定義された.これは画期的なことだった.治らないとされ,家の奥に隠されてきた患者に対し,医療職が訪問し,健診することが始まった.同時に調査および治療研究も推進できるようになった1).
この難病概念は日本独自の取り組みとして,社会保険審議会,超党派の国会議員が中心となり,難病対策要綱(1972年)を作り,難病の医療費の公費負担と調査研究制度を整えたことに始まる.難病は「原因不明,治療法未確立,経過が慢性にわたり,単に経済的問題のみならず,介護などに著しく人手を要するために家庭の負担がおもく,また精神的にも負担の多い疾病」とされ,その後,希少性の要素が付け加わると同時に,1996年からは「地域における保健医療福祉の充実と連携,QOL(quality of life:生活の質)向上を目指した福祉施策」が加えられた.2015年1月から「難病の患者に対する医療等に関する法律」の下で,疾患を拡大し,継続可能な制度として新たに再構成された.
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