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はじめに
これまで肝細胞癌の全身化学療法には有効なものが存在しなかった.したがって日本では全身化学療法はほとんど行われることがなく,日本肝癌研究会の報告によれば肝癌の全初診患者の5%に全身化学療法が行われ,そのうちの90%に対して動注化学療法が行われているのが現状である.しかしながら,2009年5月分子標的薬ソラフェニブが発売となり,コンセンサスに基づく肝癌診療ガイドラインでも門脈管浸潤を有する肝細胞癌および遠隔転移を有する肝細胞癌でChild Aの患者およびTACE(transcatheter arterial chemoembolization)不応あるいは動注不応の患者にソラフェニブが適応であるとの推奨がなされている.
しかしながら,分子標的治療はこれまでSHARP studyやAsia Pacific Studyにみられるようにresponse rateが極めて低いことが知られている.このresponse rateはほかの固形癌と同じようにRECIST(response evaluation criteria in solid tumors)基準で評価されるためである.また分子標的薬ソラフェニブは壊死を誘導する薬剤であり,この薬剤においても治療効果判定においては壊死をカウントする評価方法が適切であり,WHO基準やRECIST基準などの,いわゆるほかの固形癌に一般的に用いられる基準は適切ではないと考えられる.
したがって最近では欧米でmodified RECIST(mRECIST)が提唱されるようになり,日本肝癌研究会でも肝癌治療効果判定基準の3度目の改訂である「Response Evaluation Criteria in Cancer of the Liver:RECICL」においても壊死をカウントした評価が提唱されている(図1).
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