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はじめに
肝門部胆管癌は,膵癌や胆嚢癌などとともに消化器癌の中でも難治性癌に属する腫瘍である.肝門部という外科解剖学的に複雑な部位に発生するため手術が難しく,残念ながらまだ切除(できるにもかかわらず)不能とされる症例が多い.しかし,近年,本邦のいくつかの施設では積極的に切除が行われるようになり,その外科切除成績は大きく進歩してきている1~9).
筆者らの施設の成績を簡単に述べると,2001年1月~2008年12月の切除例(n=298)では,在院死6例(2.0%),および遠隔転移例39例(13.1%)を含めた全切除例の5年生存率は41%,遠隔転移がなく(metastasis 0;M0),根治切除(radical operation;R0)ができた198例に限ればその5年生存率は51%であった10).この成績は膵癌に比べれば遥かに良好で,外科医の立場からすれば「肝門部胆管癌は,手術は難しいがメスのふるい甲斐のある腫瘍である」といえる.
このように肝門部胆管癌は,切除できれば比較的良好な予後が得られるので,何とか手術に持っていくことが重要である.したがって,術前処置,および診断の第一歩となる胆道ドレナージの果たす役割は大きく,いかに的確な胆道ドレナージを行うかは手術を成功させるkey pointになる.
従来,肝門部胆管癌に対する胆道ドレナージは経皮経肝胆道ドレナージ(percutaneous transhepatic biliary drainage;PTBD)が主流であったが,最近では内視鏡的ドレナージ〔内視鏡的経鼻胆道ドレナージ(endoscopic nasobiliary drainage;ENBD),内視鏡的逆行性胆管ドレナージ(endoscopic retrograde biliary drainage;ERBD)〕も行われるようになってきている.どの方法を用いるかは施設ごとに異なっており,まだ一定のコンセンサスは得られていない.以下,胆道ドレナージについて筆者が日頃感じていることを述べ,本特集の序としたい.
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