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肝細胞癌の診断はわが国の日常の画像診断の中では大きな比重を占める重要なものである.本特集の意図は単純に肝細胞癌と鑑別の必要な疾患をまとめようとするものであり,特に鑑別が要求される良性肝腫瘤に的を絞ったものである.すでに多くの報告や総論があるがベッドサイドですぐに参考にできるようなmini-encyclopedia的な特集と理解して頂きたい.
しかしながら,“肝細胞癌と鑑別を要する良性肝腫瘤”というタイトルは単純なようで単純ではない.すでに多くの報告でも明らかなように,“肝細胞癌の画像所見は極めて多彩”である,からである.画像が表現するものは病理像であり,したがって,当然のことながら種々の病理学的亜型あるいは変性を腫瘍内に多く含有する場合はその画像は特異なものとなる.たとえば,肝細胞癌の場合は,腺維性成分の多いものは転移性肝癌や胆管細胞癌と画像は類似し,内部に広範な壊死を伴うものは他の壊死性腫瘍や膿瘍,陳旧性血腫,虚血性偽小葉壊死などと鑑別は容易ではない.その他,強度の脂肪沈着を認めるもの,強度の銅沈着を伴うもの,胆管浸潤を伴うもの,石灰化を伴うもの,なども特異な画像を呈する.一方,乏血性の高分化肝細胞癌は種々の肝細胞性過形成性結節や他の乏血性肝腫瘤との鑑別が容易ではない.極論すれば,特に肝硬変例では,すべての結節性病変が画像診断上肝細胞癌との鑑別が必要と言える.したがって,mini-encyclopediaを目指すのであればこれらをすべて網羅する必要がある.表(次頁)にこれらをまとめてみたが大別すれば,①多血性の古典的肝癌と鑑別を要するもの,②乏血性の高分化肝癌と鑑別を要するもの,③非典型的病理像を示す古典的肝細胞癌と鑑別を要するもの,に大別できるであろう1).
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