著明な脂肪化を呈した腫瘍径60mmの高分化型肝細胞癌の1切除例

A Resected Case of Well-differentiated Hepatocellular Carcinoma, 60 mm in Diameter with Remarkable Fatty Charge

　患者は67歳，女性．上腹部不快感を主訴に受診．腹部超音波検査にて肝左葉外側区域に直径60mmの高エコー腫瘤を認め，造影CTでは低吸収域を呈した．MRIはT1・T2共に高信号，DSA：　digital substraction angiographyによる血管造影では結節状の不均一な中等度の腫瘍濃染を呈した．超音波ガイド下腫瘍組織生検を行い，高分化型肝細胞癌と診断した．単発性であること，肝予備能より切除可能と診断，肝外側区域切除術を施行し，術後2年8か月経過した現在再発をみない．腫瘍径50mmを超える高分化型肝細胞癌は極めてまれである．さらに組織学的所見には高分化型であるにもかかわらず，血行動態としては腫瘍濃染を認めるというdiscrepancyを認め，興味深い画像所見を呈した．