症例報告
経過観察中にCTAP所見の消失に伴い不明瞭化した低エコー結節の1例
金 守良
1
,
松岡 利幸
2
,
前川 陽子
3
,
安藤 健治
1
,
三田 敬二
1
,
新谷 繁之
1
,
福田 勝美
1
,
井本 勉
1
,
小寺沢 俊洋
1
,
具 光成
1
,
中治 美有紀
4
,
矢野 嘉彦
4
,
猪川 弘嗣
4
,
二宮 俊明
5
,
金 啓二
6
,
平井 みどり
7
,
工藤 正俊
8
,
林 祥剛
4
,
金 幸富
1
1神戸朝日病院消化器科
2大阪市立大学放射線科
3神戸大学医学部第一外科
4神戸大学医学部第一病理
5神戸大学医学部第二内科
6神戸朝日病院薬剤部
7神戸薬科大学臨床薬学
8近畿大学医学部消化器内科
キーワード:
高分化型肝細胞癌
,
腺腫様過形成
,
AFP L3分画
,
経動脈性門脈造影下CT
,
多段階発癌
Keyword:
高分化型肝細胞癌
,
腺腫様過形成
,
AFP L3分画
,
経動脈性門脈造影下CT
,
多段階発癌
pp.495-500
発行日 2001年7月15日
Published Date 2001/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1427900315
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68歳女性,1996年9月,C型肝硬変を背景にしてS7に10mm大低エコー結節を指摘された.AFP 110ng/ml,AFP L3分画3.3%であった.経動脈門脈造影下CT (CTAP)にてS7にperfusion defectが認められ,生検にて軽度の脂肪化と細胞密度の増大がみられたが腺腫様過形成や高分化型肝細胞癌(HCC)の所見はなかった.その後,低エコー結節は1997年2月には不明瞭化し、1998年5月以降は低エコー結節として検出できなくなった.1997年6月,1998年12月,1999年10月,2000年11月のCTAPではperfusion defectは消失した.2000年11月のAFP 264ng/ml,AFP L3分画は16.2%と上昇した.現在明らかなHCCの所見は認めていないがこの症例が今後どのような経過をたどるかについては厳重な注意が必要である.
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