画像診断上FNHに類似し病理診断上肝細胞癌を疑われた肝腫瘍の1例

A Case of Liver Tumor Resembled FNH on Some X-ray Image and Suspected HCC on the Pathological Findings

　患者は58歳，男性．脳出血後のスクリーニングの腹部超音波検査で肝腫瘍を指摘され悪性肝腫瘍を疑われた．入院後の諸検査で車軸様の濃染像を認め，中心瘢痕様の造影されない領域も認めたため肝細胞癌および肝限局性結節性過形成（FNH）を疑った．針生検では腹膜播種の恐れもあるため質的診断のため超常磁性酸化鉄（superparamagnetic iron oxide：以下，SPIO）を用いた造影MRI検査を行ったが，それによりFNHは否定的で肝細胞癌の診断のもと手術を施行した．病理組織学的診断は高分化型を主体とした一部に中分化型を混在する肝細胞癌であった．一般的に高分化型肝細胞癌は，古典的肝細胞癌と異なり画像上多彩な所見に富み良性肝腫瘍との鑑別に注意が必要と考えられた．