蛋白漏出性胃腸症の長期経過中に発症し，転移性肝癌が疑われた肝原発悪性リンパ腫の1例

A Case of Primary Hepatic Lymphoma Suspected Metastatic Liver Tumor Associated with a Long History of Protein Losing Enteropathy

　患者は35歳，女性．腹水貯留を主訴とし来院．腹部超音波検査で肝に多発性の低エコー腫瘤を認め，転移性肝腫瘍が疑われ精査加療目的にて入院となった．腹部単純CTでは肝内に多発性のlow density areaを認め，造影CTではわずかに造影効果を認めた．MRI T2（Feridex使用）で腫瘤は，high intensityの結節として認められた．以上の所見および背景に慢性の肝疾患を有しないことより転移性肝腫瘍を疑い，全身検索を行ったが，確定診断を下せず，経皮的肝生検による病理組織学的検査で肝原発悪性リンパ腫と診断した．化学療法（CHOP療法）を行い完全寛解を得，現在経過観察中，再発を認めていない．