特集 悪性上皮系腫瘍
著明な石灰化を伴う基底細胞癌の1例
中村 文香
1
,
増田 泰之
1
,
鷲見 真由子
1
,
小坂 博志
1
,
小川 真希子
1
,
長野 徹
1
,
上原 慶一郎
2
,
今井 幸弘
2
1神戸市立医療センター中央市民病院,皮膚科(主任:長野 徹部長)
2同,臨床病理科
キーワード:
石灰化
,
基底細胞癌
Keyword:
石灰化
,
基底細胞癌
pp.1407-1410
発行日 2017年8月1日
Published Date 2017/8/1
DOI https://doi.org/10.18888/hi.0000000159
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54歳,男性。40年以上前から左大腿伸側に自覚症状のない皮下結節を自覚していた。ここ数年で被覆皮膚が紅褐色調となり,隆起・増大してきたため精査目的で当科を紹介受診した。生検にて基底細胞癌(BCC)と診断し全摘した。切除標本の病理組織学的所見では,腫瘍は線維性被膜に包まれた境界明瞭な結節で,表皮とは非連続性に,好塩基性細胞が柵状配列した腫瘍胞巣が島状に多数認められ,腫瘍胞巣内,間質に壊死巣・石灰化を多く伴っていた。石灰化を伴う皮膚悪性腫瘍ではBCC が最多とされているが,本邦における報告は少ない。長期間の経過後にBCC に著明な石灰化を伴った症例を経験したので自験例における石灰化の機序について,若干の考察を加えて報告した。
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