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編集後記
角谷 眞澄
pp.210
発行日 2007年3月15日
Published Date 2007/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1427100573
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今回の特集は「肝区域性・領域性異常の画像と病態」である.肝区域性・領域性異常の画像所見から,その成因ならびに病変の本体に迫ることが,適切な治療選択の一助となることを伝えたく企画した.肝内に区域性・領域性の異常所見を画像診断で認めることがある.これらは腫瘤性病変に付随することもあれば,腫瘤がないにもかかわらず認められることもある.その領域は,動脈や門脈の還流域,肝静脈性の流出域,あるいは胆管の拡張域と関連していることがあり,「偽病変」として画像上に出現する.また領域の血流変化や胆汁うっ滞が持続すると様々な組織学的変化が二次的に生じ,時として画像所見に反映され「偽腫瘍」として問題になる.これらを的確に識別するとともに,成因となっている「真の異常」を見出す必要がある.
本特集は,松井修先生の序をはじめにお読みいただきたい.肝内に認められる区域性・領域性異常の画像診断の歴史が理解できる.そして,松井先生がこの領域の画像と病態を解明してきた先駆者であり,かつ第一人者であることが改めて認識いただけると思う.各論として,A-Pシャントの画像を上田和彦先生に,門脈血流障害の画像と病態を小林聡先生に,肝静脈血流障害の画像と病態を松枝清先生に,胆管障害に伴う区域性異常の画像と病態を蒲田敏文先生に,そして静脈血流還流破格の画像と病態を桑原好造先生にそれぞれご執筆いただいた.どれも明快な解説と秀逸の画像を堪能できる.
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