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編集後記
角谷 眞澄
pp.192
発行日 2008年3月15日
Published Date 2008/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1428100036
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冬の早朝,東京に向かう“あずさ”の車窓から,朝日に輝く乗鞍岳の冠雪が目に飛び込んできた.安曇野を南へと列車がひた走るにつれ,常念岳を皮切りに,ピンクに染まる北アルプスのパノラマが姿を変えながら後方へと流れていく.8年目を迎えた信州で見慣れた景色のはずなのに,とても新鮮な思いがした.早朝であること,快晴であること,空気が澄んでいることなど,諸条件がそろって初めて実現した美しい光景だ.
CTの臨床応用の始まりは30年前に遡る.ヘリカルCTが登場してからもすでに20年が経過した.そしてMDCTの臨床応用も,10年の歴史が刻まれた.2列から始まったMDCTは,4,8,16,32,64と多列化が進み,高速撮影が可能となった.その結果,肝胆膵領域では広範囲をより薄いスライスで撮影できるようになり,頭尾方向にも高分解能の画像が得られるようになった.元画像から再構成された脈管の3次元画像,任意方向の薄い断面像は実に美しい.そうした画像を利用し病変を多方向から観察することで,それまで気づかなかった病変の姿が目に飛び込んでくる.こうした多列化による元画像の高分解能化に加え,種々のソフトウエアの開発,操作性に富む優れた画像ビューアの出現によって実現した読影環境に身を置くと,新たな病態の発見の予感がする.
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