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編集後記
角谷 眞澄
pp.374
発行日 2012年6月15日
Published Date 2012/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1428100592
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肝硬変に伴う結節性病変が多段階発癌の過程を経て古典的肝癌に至ることが,臨床病理学的に明らかにされてから久しい.軽度異型結節,高度異型結節を経て,早期肝細胞癌から進行肝細胞癌へと悪性化しながら腫瘤は増大する.各段階の結節内には,より悪性度の高い病変がnodule in noduleとして出現する.これらの事実を画像上で証明したのが,門脈血流の低下,ならびに動脈血流の増加を最も高い精度で評価できる動注CTである.しかしながら,侵襲性が高いことから,動注CTに代わる検査法が模索されてきた.Kupffer細胞の数や機能を評価できるSPIO-MRIや造影超音波検査が当初注目されたが,高分化肝細胞癌の一部がKupffer細胞を含有するため異型結節との鑑別診断に限界があり,残念ながら決定打とはなっていない.こうした中で登場したEOB-MRIは,多血性病変である進行肝細胞癌の診断のみならず,乏血性病変である早期肝細胞癌の検出と前癌病変との鑑別を高い精度で実現する可能性を秘めた画期的な検査法として脚光を浴びている.
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