主膵管に尾側膵管拡張を伴った狭窄を認めたためIPMNと鑑別困難であった膵頭部漿液性囊胞腺腫の1切除例

A Case of Serous Cystadenoma of the Pancreas Head with Main Pancreatic Duct Stenosis and Dilatation of the Distal Pancreatic Duct Indistinguishable from Intraductal Papillary-mucinous Tumor

　患者は54歳男性．人間ドックにて，膵頭部に3cm大の囊胞性病変を指摘された．CTでは尾側主膵管は拡張しており，また囊胞内に造影効果のある充実性病変を認めた．MRIでは囊胞性病変はT2強調画像にて著明な高信号を呈していたが内部には相対的に低信号の領域も存在した．ERPでは膵頭部で25mmに及ぶ主膵管の狭窄を認め，尾側の主膵管は拡張していたが，囊胞性病変は造影されなかった．血管造影では動脈早期相に濃染される病変を認めた．膵頭部の混合型IPMTで一部に癌化もあると考え，幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した．病理学的所見は漿液性囊胞腺腫と診断された．主膵管の狭窄は腫瘍による圧排で，尾側膵管に異型はみられなかった．