連載 膵癌類似病変―その臨床と病理 第3回
自己免疫性膵炎(AIP)
山口 幸二
1
,
入江 裕之
2
,
恒吉 正澄
3
,
田中 雅夫
1
1九州大学大学院医学研究院 臨床・腫瘍外科
2九州大学大学院医学研究院 臨床放射線外科
3九州大学大学院医学研究院 形態機能病理
pp.381-391
発行日 2006年5月15日
Published Date 2006/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1427100169
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■はじめに
わが国より疾患概念が発信されている自己免疫性膵炎(AIP)は当初,膵の腫大,膵管の枯れ枝状狭窄を画像の特徴とし,こうした病変は膵臓にびまん性に見られるとされていた.症例の蓄積とともに膵臓の一部に限局したものや限局性よりびまん性に広がるものなどが報告され,膵癌や胆管癌との鑑別が問題となる症例が見受けられるようになった.また,AIPが広く知られるようになったがため,外科切除可能な膵癌に対して,結果的にステロイド投与による診断的治療となった症例も見受けられる.そこで,ERP像がAIPと類似した膵頭部癌(症例1),膵頭部のAIPを外科切除後,残膵に発症したAIP(症例2),前医でAIPの診断でステロイド投与された膵頭部癌(症例3)を紹介し,現在の問題点を述べてみたい.
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