C型慢性活動性肝炎に合併した脾原発悪性リンパ腫の1切除例

A Splenectomy Case of Primary Splenic Malignant Lymphoma Associated With Chronic Hepatitis Type C

要旨　患者は66歳，女性．C型慢性活動性肝炎に対してスミフェロン(R)の投与を行ったがpartial response（PR）しか得られず，その後レベトール(R)併用でイントロンA(R)の投与を行ったが，うつ病をきたしたため中止した．経過中に腹部超音波検査で，脾臓に4か月前にはみられなかった4 cmの低エコー腫瘤が指摘され，2か月後には5 cmと増大したため精査目的に入院となった．腹部CT上，脾臓に類球形で辺縁平滑，内部は低吸収に描出される腫瘤を認め，dynamic studyではhypovascularな像を示した．MRIのT2強調画像およびその脂肪抑制画像では正常脾実質よりやや低信号を示した．レボビスト(R)による造影超音波および血管造影検査でもhypovascular tumorの所見であった．ガリウムシンチグラフィーでは腫瘤に著明な集積を認めた．腹腔鏡下脾臓摘出術を施行したところ，径60×38 mmの境界明瞭な白色の腫瘤を認め，病理組織学的所見よりびまん大細胞B細胞型の悪性リンパ腫と診断した．脾原発の悪性リンパ腫はC型肝炎ウイルスの肝外病変と考えられており，臨床上示唆に富む症例と思われた．

（消化器画像2005；7：385―391）