連載 原著・過去の論文から学ぶ・1【新連載】
進行性核上性麻痺に関する2つの論文とJohn Steele先生の思い出
下畑 享良
1
1岐阜大学大学院医学系研究科脳神経内科学分野
pp.309-312
発行日 2024年3月1日
Published Date 2024/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1416202602
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原著との出会い
Steele JC, Richardon JC, Olszewski J: Progressive supranuclear palsy: a heterogenous degeneration involving the brain stem, basal ganglia and cerebellum with vertical gaze and pseudobulbar palsy, nuchal dystonia and dementia. Arch Neurol 10: 333-359, 1964
研修医であったころ,とても印象に残った疾患があった。少し重心が後方にずれると,無抵抗に倒れる進行性核上性麻痺(progressive supranuclear palsy:PSP)である。指導医より「原著をぜひ読むように」との助言をいただいた。図書室に赴き,製本された雑誌の原著1)のページを捲ると,手垢のせいかその論文の部分が変色し,剝がれかけた箇所をテープで丁寧に留めてあることに気がついた(Fig. 1)。その論文が,多くの先輩方によって繰り返し読まれてきたことがすぐにわかった。この論文を読み,先輩方から引き継ぐべき神経学の歴史を実感するとともに,重厚な内容に圧倒され,「原著」に立ち戻ることの大切さを初めて理解した。
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