連載 スーパー臨床神経病理カンファレンス・2
転倒ののち,歩行困難となり意識障害が出現した85歳女性例
足立 正
1,2
,
鈴木 有紀
2
,
田尻 佑喜
2
1鳥取大学医学部脳神経医科学講座神経病理学分野
2鳥取大学医学部附属病院脳神経内科
キーワード:
細菌性髄膜炎
,
結核性髄膜炎
,
ウイルス性髄膜炎
,
癌性髄膜炎
Keyword:
細菌性髄膜炎
,
結核性髄膜炎
,
ウイルス性髄膜炎
,
癌性髄膜炎
pp.301-308
発行日 2024年3月1日
Published Date 2024/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1416202601
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〔現病歴〕既往歴に特記事項なし。もともとADL自立し,認知機能も問題なく過ごしていた。X年Y月Z日自宅で転倒しコルセットを付けて過ごしていた。当初は歩行可能であったが,徐々に起立困難となった。Z+12日整形外科病院を受診し,Th11圧迫骨折の診断のもと入院となった。Z+16日手術目的に当院へ転院。転院後,意識障害が出現したため当科へコンサルトされた。
体温35.9℃,血圧111/39mmHg,脈拍127回/分,整,SpO2 95%(室内気),胸部にラ音を聴取せず。神経学的にはJapan Coma Scale 10の意識障害,腱反射は両下肢で消失し,両下肢は近位から弛緩性麻痺と感覚鈍麻を認め,両側バビンスキー徴候を認めた。頭部単純MRIでは,拡散強調画像にて右前頭葉,左小脳に急性期脳梗塞を認めた(Fig. 1)。胸部単純CTにて,両側肺野全体に多発する粒状陰影を認めた(Fig. 2)。全脊椎単純MRIでは,Th11圧迫骨折以外,下肢麻痺をきたす髄内病変は認めなかった。
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