連載 脳神経内科領域における医学教育の展望—Post/withコロナ時代を見据えて・11
Dx時代の地域医療と臨床教育—変わること,変わらないこと
高村 昭輝
1
1富山大学学術研究部医学系医学教育学講座
キーワード:
地域
,
医療者教育
,
プライマリ・ケア
Keyword:
地域
,
医療者教育
,
プライマリ・ケア
pp.939-941
発行日 2022年7月1日
Published Date 2022/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1416202152
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はじめに
まず,はじめに地域医療とは何か? ここでは3次医療機関や大規模な2次医療機関ではない地域のプライマリ・ケアの現場で行われる医療と定義して話を進めたいと思う。医学の進歩に伴い大学病院を主とする医育機関で行われる医療は高度化・専門化してきている。また,そこでの医療における患者側のニーズも難しい疾患の診断や治療といった対応ということになる。これはこれで非常に重要である。
しかし,地域住民のうち,大学病院に受診するのはおおよそ0.5%,大学病院に入院するのは0.1%と言われている中で,大学病院で経験できるのは日本の医療におけるほんの一部であるということを医療者教育に携わる者は認識しておく必要がある。また,健康寿命に対する認識や予防医療へのニーズの高まり,そして医療経済学的側面から,国民の「病」ではなく,「健康」に焦点を当てた医療の必要性が指摘されるようになっている。これらの社会情勢を踏まえたうえで地域医療の現場で行われる臨床教育とはどうあるべきなのかを論じてみる。
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