書評
「ジェネラリストのための がん診療ポケットブック」—勝俣範之,東 光久【編】
上田 剛士
1
1洛和会丸太町病院救急・総合診療科
pp.917
発行日 2022年7月1日
Published Date 2022/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1416202148
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ジェネラリストにとって心強い味方ができた。『ジェネラリストのためのがん診療ポケットブック』である。2人に1人はがんに罹患し,3人に1人はがんで死亡している時代において,がん診療はジェネラリストにとって避けることのできない分野である。患者・社会からのニーズも高く,この分野に臨むことはやりがいがあることは言うまでもない。その一方で,がん診療は壮大な学問であり,ジェネラリストが挑むにはいささかハードルが高かった。本書ではがん診療のメインストリームであろう薬物療法についてあえて深く踏み入らないことで,このハードルを一気に下げた。その代わりにジェネラリストが知りたい内容が盛りだくさんとなっており,がん薬物療法を普段行っていないジェネラリストのために特化した一冊である。
例えばがんの予防については患者からの質問も多く,ジェネラリストにとって知らなければならない知識の一つであるが,「がんの19.5%が喫煙による」「適度な運動はがん死亡リスクを5%下げる」などの具体的な記述は患者指導に大いに役立つであろう。また,がんのリスクとなる食品,リスクを下げる食品についても言及されている。がんを疑う徴候に関しても,例えば,Leser-Trélat徴候は3〜6カ月以内の急性発症で瘙痒感を伴うことが脂漏性角化症との違いなど,臨床的に重要な知識が詰め込まれている。
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