LETTERS
脳をみる「窓」としての網膜の可能性
森 望
1
1福岡国際医療福祉大学医療学部視能訓練学科
pp.824-825
発行日 2022年6月1日
Published Date 2022/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1416202129
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2021年11月号の特集『「目」の神経学』は錯視や幻視など興味深い話題も多く,楽しませていただいた。私たちは「目」でものを見ているというより「脳」で見ているといったほうが正しい場合もある。そのことをつくづくと感じさせてくれた。
特集の中に『眼は「脳」の窓となり得るか?』という総説がある1)。眼底検査に汎用される光干渉断層計(optical coherence tomography:OCT)や光干渉断層血管撮影(OCT angiography:OCTA)で高齢者での認知機能変化の初期症状を捉えられるか? という視点から現状での研究状況について詳述されており,とても参考になった。結論からすると,このような装置の進展により微細な変化を捉えられるようになりはしたが,単独の検査でアルツハイマー病(Alzheimer disease:AD)などの認知症の診断に使うには,現状ではまだ難しいとのことである。この総説の最後にハイパースペクトルイメージング(hyperspectral imaging:HSI)カメラによる認知症検出への可能性に言及している。米国のKoronyoら2)とオーストラリアのHadouxら3)の研究を紹介しているが,実はそれに先んじて,米国のミネソタ大学のRobert Vinceらの研究がある4,5)。
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