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あとがき
虫明 元
pp.412
発行日 2022年4月1日
Published Date 2022/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1416202055
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脳科学リテラシーは,昨今世界で議論されているホットな話題である。2022年2月22日に北米神経科学学会(SfN)の“Neuronline”で神経科学における誤謬をテーマにした2つのウェビナーが開催された。Karl Herrupが“Fallacies in Neuroscience: The Alzheimer's Edition”の,Christophe Bernardが“On Fallacies in Neuroscience”の講演を行った。
Herrupは認知症におけるアミロイド・カスケード仮説は,タウの蓄積とアミロイドの蓄積,認知症の症状の時間的な順序から原因を「逆推論する誤謬」ではないかと指摘している。また,これら物質の蓄積は一般的に毒性があるから,物質の毒性が認知症の原因となったとは言えないのではないかとし,「結果から肯定」は論理的な誤謬ではないかと続けた。さらに,もし白髪の割合が増えるのが上記の変化に先行すれば白髪も原因とみなされるのではないかという例を挙げ,認知症の研究がアミロイド・カスケード仮説一辺倒になっている現状への疑問を呈していた。
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