書評
「双極性障害 第3版 病態の理解から治療戦略まで」—加藤忠史【著】
渡邊 衡一郎
1
1杏林大学精神神経科学
pp.239
発行日 2020年3月1日
Published Date 2020/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1416201512
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本書は,現時点における双極性障害のまさにすべてが詰まっている,と言っても過言ではない。双極性障害の歴史に始まり,疾患の概要,診断や治療戦略の立て方,さらには最新の生物学的知見による種々の病態仮説に至るまで幅広く網羅されており,引用文献だけでも813篇にのぼる。この著者の豊富な経験とこの膨大な知見に基づいた本書は,圧倒的な説得力を持っていると言えよう。
評者がまず驚いたのは,本書の礎となる初版は1999年に発表されているのだが,これは著者が医歴11年目にして執筆したということである。当時は,まだ双極性障害に対する理解も不十分であった中,医歴11年目にしてこのような成書を完成させたことに驚きを隠せない。このことからも,著者が双極性障害研究の第一人者であることは間違いない。
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