書評
―加藤 敏 著―職場結合性うつ病
井原 裕
1
1獨協医科大学越谷病院・こころの診療科
pp.1020
発行日 2013年10月15日
Published Date 2013/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405102582
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内陸型の工業地帯栃木県を拠点とする著者は,産業精神保健という新たなフィールドを見出した。
学説史的には,「職場結合性うつ病」は,19世紀英国のJohnsonによる「ボロボロ・ガタガタ病」(wear and tear malady),アメリカのBeardによる「神経衰弱」(neurasthenia)などに起源を持つ。その本質は,「心因性」よりは,むしろ「内因性」であり,高い生命力動の担い手における「適応性軽躁状態」(p28)が初期徴候となる。その際に生じた「獲得性の軽微な双極性」(p28)が,睡眠による代償の許容範囲を超えると,ついには「心身の規則的なリズムの失調」(p10)を呈して,発症する。
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