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あとがき
河村 満
pp.94
発行日 2018年1月1日
Published Date 2018/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1416200959
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このあとがきの依頼メールをスマートフォンで確認したのは,金沢駅のそばの魚料理屋のカウンター席に座った直後でした。依頼には,泰羅先生についても少し触れてください,とありました。「わかりました」とすぐにお返事しました。
秋が深まった北陸の街で,人の死,存在と不在について少し考えたいと思いました。例えば,人は誰かが「いる」ことと同じくらい「いない」ことにも影響を受けます。昨日まで会話していた人が,今日突然いなくなる。はじめはその事実に耐えきれないのは当然です。そして,「いない」ことにずっと思いを巡らせ続けます。このように,残された人は不在を知りながらその存在を感じ,さらに生きていこうとするわけですが,その意志の背景には一体,どんな脳内機構があるのかなどと考えを巡らせているうちに,涙が止まらなくなりました。
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