紙上討論
「漢字」と「ひらがな」の知覚部位は同じか?
櫻井 靖久
1
,
辰巳 格
2
,
渡辺 眞澄
3
1三井記念病院神経内科
2LD・Dyslexiaセンター
3県立広島大学保健福祉学部コミュニケーション障害学科
pp.959-975
発行日 2016年8月1日
Published Date 2016/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1416200538
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A 櫻井 異なるという立場から 1
「『漢字』と『ひらがな』が脳の中で知覚される部位は異なる」という知見はテレビのクイズ番組でも出題されたことがある。いまや周知の事実なのかもしれない。しかしながら,この根拠となる事実を多数例で検討した論文は意外と少ない。多くは,単一症例報告である。
本紙上討論では,漢字とひらがなの視覚処理が異なるという立場から,これまでの病巣研究の成果をレヴューし,また機能画像研究でこの「漢字・仮名問題」(本論でいう仮名は特に断らない限り,ひらがなを指す)がどう捉えられてきたかを概説した後で,漢字処理,仮名処理に特化した部位について考察する。なお厳密な意味でのレヴューではないので,文献リストは最小限にとどめた。
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