学会印象記
WCN 2015 The XXII World Congress of Neurology(2015年10月31日〜11月5日,サンチアゴ)
松本 理器
1
,
髙橋 良輔
2
,
水澤 英洋
3
1京都大学大学院医学研究科てんかん・運動異常生理学
2京都大学大学院医学研究科臨床神経学
3国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター
pp.294-297
発行日 2016年3月1日
Published Date 2016/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1416200393
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10月31日〜11月5日にチリ,サンチアゴにて,第22回世界神経学会議(WCN 2015)が開催された。サンチアゴはほぼ日本の真裏に位置し,ちょうど時差が12時間ある。日本からサンチアゴまでは,北米で1度乗り継がねばならず,かなりの長旅であった。チリ上空の機上からは,雄大なアンデス山脈が南米大陸を南北に縦走し,霞の下に町並みがみえた。到着した南半球のサンチアゴは木々の緑につつまれた春の最中であり,天気予報とはうらはらに大会期間中は天候に恵まれた。
大会は31日午後の教育コースに始まり,実質学術プログラム初日にあたる大会2日目の夕方に開会式が開かれた。チリの国民的舞踊とされるクエッカ(cueca)が披露され,次に医師でもあるMichelle Bachelet大統領の演説で大いに盛り上がった。大会プログラムは,脳卒中,運動異常症,認知症,てんかん,神経感染症,中枢脱髄疾患,神経筋疾患,神経画像がメイントピックスとして取り上げられ,それぞれ全日のセッションとしてシンポジウムが開かれた。筆者(松本)の専門領域の特別講演では,米国NIHのMark Hallett先生が意志の神経基盤について機能的(functional)な運動異常症との観点から,伊パルマのGiacomo Rizzolatti先生がミラーニューロンシステムについて自閉症スペクトラムや脳梗塞のリハビリテーションとの観点から講演をされた。南米という地理的制約にもかかわらず,120カ国以上の国々から3,500名を超える参加者が集まる大きな国際会議となった。
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