連載 参加してためになる国際会議・第9回
World Congress on Brain Injury
山田 尚基
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1東京慈恵会医科大学リハビリテーション医学講座
pp.799
発行日 2017年10月18日
Published Date 2017/10/18
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- 文献概要
▶ 本学会の成り立ち
The International Brain Injury Association(IBIA)はGeorge A. ZitnayとMartin B. Foil, Jrによって1993年にオックスフォード大学で設立された組織である.そこには多分野の専門家グループや患者家族も国際的な組織として存続するために招待され編成された.IBIAは脳損傷という疾患概念の普及・発展途上国を中心にリハビリテーションの提供・研究のサポートや国際的に情報交換することを主な目的としている.その目的の達成方法として“World Congress on Brain Injury”が開催されることとなり,第1回国際会議はデンマークで,その後はスペイン・カナダなど世界各地で3月中旬に開催されている.本学会の目的である脳損傷の理解・サポートの重要性について簡単に触れる.
脳損傷は,頭蓋骨の挫傷・穿通(交通事故や転落や銃創)や,疾病(脳卒中,感染症,腫瘍,代謝異常など),頭部の急激な加速や減速などの閉鎖性頭部損傷によって引き起こされる.外傷による場合,脳への損傷は,衝撃発生時・衝撃発生後に起こる脳水腫や脳内の出血,脳周囲の出血(硬膜外または硬膜下出血)が原因で起こる.脳損傷を被った人は,損傷による明らかな肉体的症状のほかに,運動,記憶,注意力,複雑な思考,発話,言語,行動の変化などに関連した,多くの問題が残ることがある.具体的にはうつ病,不安,自信喪失,人格変化などの後遺症に悩まされるため,多くの専門家や家族のサポートが必要となる.
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