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学会の概要
2015年5月1〜4日に,シンガポール国際会議場展示センター(Singapore International Convention & Exhibition Centre)を会場に,今年で17回目を迎える世界理学療法学術大会(World Confederation for Physical Therapy Congress:WCPT)2015が開催された.大会ホームページによると,WCPT2015には世界114か国から約3,500名の参加があり,そのうちの3分の2はWCPT初参加者で,4分の1は前回大会のアムステルダム(オランダ)の参加経験者であった.職務の内訳は,臨床家が約40%,教育者が22%,研究者が15%で,約8%はpre-qualifying(無資格者),またはpost-qualifying(有資格者)であったとしている(おそらく,この8%のなかに学生,大学院生,または勤務していない有資格者などが含まれる).日本人の参加者は434名と最多であり,開催国であるシンガポール(393名)を上回っていた.続いて,オーストラリア(332名),英国(209名),米国(207名),スウェーデン(129名),台湾(122名),マレーシア(102名)であった.WCPTは1953年にロンドンで第1回大会が開催され,以降4年ごとに開かれている.実は,筆者が理学療法士になる前の1999年に横浜で開催されていて,これがアジア初の開催になっている.次回のWCPTから2年ごとに変更され,開催地はケープタウン(南アフリカ共和国)に決定している.
本大会では,前回大会にはないさまざまな取り組みがなされていた.新たなシステムの導入として,① Appleストアから学会専用アプリ「WCPT 2015」(図1)がダウンロードでき,学会参加中のスケジュール管理がスマートフォンで可能,② 大会会場ではWCPT2015の無料WiFiが設定されており,ネットサービスが使用可能,③ 大会参加事前登録をした参加者に,参加受付と名札を受け取るためのバーコードが事前にメールで送付され,受付時間の円滑化が図られた,④ 熱中症対策なのか,すぐ水分摂取できるようにウォータージャグや塩飴のようなものが置かれていた(参加した前回学会のオランダでは会場内にリンゴが置いてあった).これまでのWCPTでは抄録がCD-ROMで配布され,聴講したい発表などはプリントアウトしなければならず面倒であったが,学会専用アプリはアプリ上で抄録閲覧が可能であり,とても便利であった.また,前回大会では受付時にかなり混雑していたが,本大会は比較的混雑なくスムーズであったように思われた.今回導入された事前参加登録者へのバーコード添付メール配信の効果もあるかもしれないが,前回大会では約5,000名もの参加があり,参加人数の減少も影響していると思われる.参加人数減少の要因には,事前登録でも10万円を超える参加費を支払う必要があり,シンガポールへの旅費も含めると参加にかなり高額な費用がかかること,オランダでの前回学会では陸続きであるEU各国からの参加が多かったことなどが考えられる.
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